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本・映画・音楽などの主観的な感想。マイワールド万歳。

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川上弘美 「どこから行っても遠い町」


とある町のとある商店街を舞台にした短編集。
その町に暮らす人々の日々がゆるく切り取られています。
直接的には関係なかったりするけど、微妙につながりのある人たち。
魚屋の人の話があれば、そこのお客の話があり、近所の人の話があり、子どもの話があり・・・
いろんな人の人生が積み重なって、町は機能しているんだなぁと当たり前なことを今さら思いました。

この本に描かれている町は、きっと見渡せばどこにでもあるようで。
誰の中にも存在しているような、近いんだけど、あんまり足を運ばない隣の町のよう。

なんというか川上さんの本って、取っ掛かりがない。
本を読む気分じゃなくても、気まぐれに文字を追っていたら、するりと1つの話を読まされてしまう。
しっとりしていて、うっすらとした膜があるのに、ところどころに強く現実を感じさせる。
そして、読んだ後はすっぽりと忘れてしまうような、本当に町ですれ違うだけの人、みたいな。
だけどこの感じがとても心地よかったりする。
読んでいる間の充実感や満足感は濃厚なのに、どんな話だったっけ?とすぐに忘れてしまえる後残りのなさが、疲れてるときなんかはすごく満たされた気持ちになるんですよね。
自然とまたページを開いてみたくなって、後からじわじわ効いてくる。
また、この独特な空気が好きです。
読点の打ち方とかね。

好きな話はなんだろう・・・『長い夜の紅茶』とか『四度目の浪花節』『急降下するエレベーター』。
『午前六時のバケツ』もよかったな。
父親を嫌っている息子が父親と中華まんを食べながら、あいかわらず父親は嫌いだけど、まあいいかと思っているシーン。嫌いであることにあんまり意味がなくなっている、そういう感覚ってとてもわかる。

表題作でもある『どこから行っても遠い町』の主人公が
「おれは、生きてきたというそのことだけで、つねに事を決めていたのだ。決定をする、というわかりやすいところだけでなく、ただ誰かと知りあうだけで、ただ誰かとすれちがうだけで、ただそこにいるだけで、ただ息をするだけで、何かを決めつづけてきたのだ。」
と、思うところがあるけど、けっきょくそういうことなんだろうなと思いました。
生きていくってことは決定していることの連続であって、決定し続けた自分ゆえの今がある。
そうして最終的には、「捨てたものではなかったです、あたしの人生」 なんて思えたら。。

おもしろかったです。読みやすくて、しっとりしていて、後になんとなくの余韻が残るだけ。
川上さんの本ってやっぱり好きだなぁ。いつも読み終えた後にすごく感じる。
ただ、こんなに不倫や浮気の多い町というのもすごいけれど。^^;


どこから行っても遠い町どこから行っても遠い町
(2008/11)
川上 弘美

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小春 ⇒

綺麗な桜、今が見頃でしょうか?!
こんばんは、葉月さん♪コメントありがとう(^^)

きっとサザエさんのような本なのかなぁ~?
見終った後の感想が似テルから…

昨今、不倫や浮気はもう珍しくはないような気がするのは、私の周囲が乱れてるのかしら?
悲しいわぁ~~(ノД`)シクシク
ドロドロしてるけど理解できる自分もなんだかなぁ~ですね^^;

  • 2010.04.06
  • Tue
  • 18:40
  • URL
  • EDIT

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葉月 ⇒ Re: 小春さん

桜はこちらはもう散り始めかもしれないですね。
昨日はもう春というより初夏並みの暑さでした(汗)
でも私は葉桜の方が好きなので、今からが気分的にも高揚します。。

うーん・・・この本はサザエさんとは雰囲気的にちょっと違うかも(苦笑)
サザエさんはたまに見ると、けっこうな黒い会話を磯野家が笑いながら話していたりして、驚くことがあります(笑)

不倫や浮気は物語的には好きですが、実際には・・・e-263

  • 2010.04.07
  • Wed
  • 12:46
  • URL
  • EDIT

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gaker ⇒

>本を読む気分じゃなくても、気まぐれに文字を追っていたら、するりと1つの話を読まされてしまう。

川上弘美さんのは読んだことないですけど、今、なんだかこういう小説を読みたい気分です。

いい意味で読後感のない小説ってありますよね。私もそういった小説が好きです。

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葉月 ⇒ Re: gakerさん

>今、なんだかこういう小説を読みたい気分です。

gakerさん、もしかして疲れがたまってるのかなぁ(笑)
でも、何か読みたい気持ちはあるんだけど、読む気力が起きないときってありますよね。
そういうときに川上さんは、もってこいかもしれないです。ぜひ。。

  • 2010.04.08
  • Thu
  • 09:04
  • URL
  • EDIT

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