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吉田修一 「悪人」


吉田修一さんの小説は独特の匂いがあって、いつもまったりと読むような感じだったのですが、この本は内容が事件を扱っているせいか、すごく続きが気になり2・3日で読みきってしまいました。

吉田さんの新境地ともいえる、殺人事件を題材にした作品。
ある峠で女性の死体が見つかったことにより、出会い系サイトを通して知り合った男女が起こす悲しい逃亡劇。
この話は被害者と加害者、そしてその家族、周囲の人たちの証言を交えながらじっくりと事件が描かれていきます。ちなみに犯人は冒頭でわかるので、推理的おもしろさはありません。苦笑

なにより無駄のない的確な情景描写と人物像に引き込まれました。
登場人物の背景や心情がしっかりしていて、まるで宮部みゆきを読んでいるかのような重厚さ。
この話は九州北部が舞台で、物語の中に自分の住んでる街や知ってる場所が多々出てくるのですが、それぞれの土地の雰囲気が的確に捉えられていることに驚きでした。おそらくその場所にきちんと足を運んで書かれてるんだろうなーという確かな感触があります。

また、全体を通して九州の方言が使われていて、その方言の違和感のなさにもビックリ。
けっこう方言ってビミョーに使われ方が間違ってたりするのですが、これはいいですよ、すごく。
そして女性の描写がうまい。純文学系の男性作家さんは意外と女性描写で気分が萎えることがあったのであせ、吉田さんってこんなにうまかったんだー?と意外でしたね。これを機会に、もっと吉田さんの本を読んでみようと思いました。

なんだか読み進めるにつれて、無性に寂しさを感じる作品でした。
この話の人たちはみんな孤独を抱えてる。加害者の祐一も祐一と一緒に逃げる光代も、その家族も、被害者の佳乃だってそう。佳乃はすごく嫌な女で、実際ひどいことを祐一に対してしているのだけど、だからといって殺されて良いわけじゃない。きちんと悲しんで怒って娘をそれでも信じてる家族がいるわけで。
祐一も祐一で殺人を犯したからといって、悪人なのかといわれればそうじゃないよと言いたくなるし、自分は関与していないとはいえ、被害者や加害者、その家族を好き勝手に誹謗中傷していいわけでもない。

悪人っていったい誰のことを指すのかな・・・と読み終えて、考え込んでしまいました。
誰の心にも悪な部分はあると思うし、悪の定義って簡単には括れそうにありません。
私には佳乃と似た部分もきちんと存在してるし、誰にも信じてもらえそうにない状況になってしまったら、怖くなって祐一と同じように人を殺めてしまうかもしれない。
自分を信じてくれる人がいないという思い込みの寂しさが、事件に発展してしまうこともあるんだと思うと、なんだか悲しいですね。。


悪人悪人
(2007/04/06)
吉田 修一

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カテゴリー:[読む]や行の作家

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Ashley ⇒

一冊しか読んでませんが吉田修一はあまり好きになれず、しかし従来と作風がちがうというこの本が気になってました。
タイムリーな紹介ありがとうございます!
でも近所の図書館では見かけないんですよねー。。。
わがままを言えば、推理的な要素もあって欲しかったです^^;

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葉月 ⇒ Re: Ashleyさん

そうですよね、吉田さんの作品って人を選ぶ気がします。。
私も吉田さんの本はあまり読んでないのですが、恋愛主体の本って共感できないとツライものがありますし・・・(苦笑)
でも、この本はすごく今までの作風とは違ってましたよ。 推理的要素はあまりないですが、宮部みゆきさんのようなしっかりした小説でした。
この方は事件モノを書いたほうがうまいんじゃないかなぁと思いましたねー。
気が向かれたら、ぜひ☆

  • 2009.05.06
  • Wed
  • 19:11
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